光のもとでⅠ
「紅葉(もみじ)の見頃は過ぎちゃったけど、ほかにもきれいな葉はあるよ」
 先に来て紅葉具合を確認していたらしく、秋兄が翠を促した。
 先導権を奪われた気がした。
 それが顔に出たのか、
「司、別に、とか答えてたけど、やっぱ迷惑だったりする?」
 わかってて訊いてくるから性質が悪い。
「さっき、迷惑か、とは訊かれなかった」
「あぁ、確かに……。困るか、って訊いたんだっけ?」
「そう」
「じゃ、迷惑ではあるわけだ」
「想像に任せる」
 こんな会話は日常茶飯事で、珍しくもなんともない。
 それでも翠の表情は曇る。
 わかりやすいくらいにはっきりと。
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