光のもとでⅠ
 じゃぁ、俺はそのままの翠を受け入れることができるんだろうか。
 そもそも、そのままの翠って何?
 今までなら、そのままの翠はそのままの翠で、突っ込んだことを考える必要などなかったのに。
 今となってはもう何がなんだかわからない。
 俺は藤山内にある自宅へ帰る。
 翠と秋兄はマンションに帰る。
 必然と、俺はふたりを見送ることになった。
 しかも、秋兄は珍しくも歩きで藤山に来たらしく、ふたりはマンションまで歩きで帰る。
 同じ時間を共有して。
「教えなければよかった……。そしたら、俺がマンションまで送っていけたかも……」
 会話がなくても、言葉を交わしてギスギスしてしまっても、それでももう少し一緒にいられたかもしれない。
 それとも、「蒼兄に連絡して一緒に帰る」とでも断られただろうか。
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