光のもとでⅠ
 もしこのままスープしか飲まないようなら、ここで弁当を食べるのはやめよう――そう思った日から、翠は弁当を広げ固形物を口にし始めた。
 だから、俺はやめることなくこのクラスへ足を運んでいる。
「なぁ、司……。来るだけ来て、翠葉と話さないのか? それとも、話さなくても翠葉の顔を見ればそれでいいとか?」
 海斗に訊かれるくらい、俺と翠の間に会話はない。
 理由は、翠が食べるのが遅いから、というものであり、決して顔を見られればそれでいいと思っているわけではない。
「食べている最中、翠に話かけるとどうなるか知っているか?」
「は?」
 間抜けな顔をしている海斗に、翠という人間の生態を説く。
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