光のもとでⅠ
 なんでも、ウィルスソフトを入れずにパソコンを使おうとしていたくらいには機械に疎い。
 携帯さえ手に入れば、中は簡単に見ることができるだろう。
 あの携帯には藤宮の人間のデータも入っている。
 まさか静さんに限って仕事の話をメールでしているとは思っていない。
 それに、藤宮の人間の番号を入手したところで、うまく利用できる人間がどれほどいることか。
 が、可能性がないわけではない。
 ならば、早急に手を打つべきだ。
 この手のことを任せるとしたら唯さんなわけだけど、俺の指令は秋兄を通すことになっている。
 だから、すぐに秋兄に電話をした。
 唯さんに、翠にはばれないように携帯のバックアップを取っておくように、と――。
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