光のもとでⅠ
 越谷がその携帯をどうするのか予想する。
 ばれないように元に戻すのか、それとも持ち帰るのか。
 俺の予想はふたつとも外れた。
 越谷はそのどちらでもなく、翠を呼び出すという行動に出た。
 下駄箱に入れられたメモの内容は、話したいことがあるから放課後に池のほとりで待っている、というもの。
 俺がそのデータを有効に使おうとするのなら、あえて本人に接触しようとは思わない。
 だが、越谷は翠に接触を図った。
 次は翠がどう動くか……。
 携帯をなくしたことに昼の時点では気づいていなかった。
 気づかないまま放課後を迎えるのか、携帯がないことに気づいてそのメモと関連付けることができるのか。
 このあたりは予想のしようがない。
 わかることといえば、翠という人間が律儀なことくらい。
 呼び出しには必ず応じる。
 携帯と関連づけようがつけまいが、翠は行く――。
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