光のもとでⅠ
「翠」
 声をかけると、こちらをゆっくりと振り返った。
 その双眸は俺を睨んでいた。
 怒鳴られはしなかったが、やはりこの場に踏み込んだことを怒っていた。
 そう思ったのは一瞬のこと。
「あとから出てきて何よ……」
 俺は自分の耳を疑った。
 今、俺はなんでもっと早くに出てこなかったのか、と責められているのか?
「カメラを持っているならこれから私がすることも全部撮っておいてっ」
「何を――」
 何が起ころうとしているのか予想だにできない。
 カメラどころか、翠の行動から目が離せなかった。
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