光のもとでⅠ
「手を上げるなんて野蛮なっ」
越谷がキッ、と翠を睨みあげる。しかし翠は、
「野蛮で結構よ……」
別人のような声を発した。
夏、入院を説得しに行ったときなど比ではない。
「私、人にされて嫌だと思ったことはしない主義なの。――本当は、本当はっ、あなたの携帯を同じように池に落としてやりたかったっっっ」
怒鳴っただけ。
それだけなのに、翠の肩は上下に動いていた。
爆発――たとえるならこの言葉しかない。
翠の感情は、たかだかひとつの携帯で爆発した。
越谷がキッ、と翠を睨みあげる。しかし翠は、
「野蛮で結構よ……」
別人のような声を発した。
夏、入院を説得しに行ったときなど比ではない。
「私、人にされて嫌だと思ったことはしない主義なの。――本当は、本当はっ、あなたの携帯を同じように池に落としてやりたかったっっっ」
怒鳴っただけ。
それだけなのに、翠の肩は上下に動いていた。
爆発――たとえるならこの言葉しかない。
翠の感情は、たかだかひとつの携帯で爆発した。