光のもとでⅠ
 ――わかった。
 じーさん、やっとわかった。
 気づくのに時間がかかりすぎてどうにもならないことになってるけど……。
 でも、じーさんが何を俺にやらせようとしていたのか、今やっとわかった。
 つまり、こういうことだろ?
「俺たちに関わるというのはこういうことだ。こういうことも全部含めて『関わる』という。情報戦は日常的に行われているし、相手に止めを刺すためなら今みたいな状況が目の前で起こったとしても、命に関わらない限りはこっちが有利になるように事を運ぶ。そういう家だし一族だ」
 ほかのルートを選ぶ余地などない。
 何を考えるまでもなく、有利に事が運ぶように状況を整える。
 それが俺たちのやり方。
 俺が怒鳴ったからか、それとも言った内容にか、どちらかは定かではない。
 翠は身を縮こまらせ手を力一杯握りしめていた。
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