光のもとでⅠ
 図書棟に足を踏み入れると思わぬ人物が待ち伏せていた。
「ここだと思った。幼稚部からの付き合いともなるとさ、このくらいは予測できるようにもなるよね。基本、消去法だけど」
 地下道の入り口、ロッカーを背に立っていたのは朝陽。
 な、んで……。
「久先輩から少し前に連絡もらってたんだ。それも極上の課題つきで。司がどうしようもなくなったときに逃げ込む場所をマークしておけって。相変わらず突拍子もない課題だしてくれるよ、まったくさ……。でも、意味なんてわからなくても当てられるくらいにはなった」
 にこりと笑う朝陽に絶句していると、荒い息遣いが背後から近づいてくる。
「さっすが朝陽! 宿題完璧だね!」
 場にそぐわない明るい声は振り返らなくてもわかる。久先輩のものだ。
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