光のもとでⅠ
 ものではなく、携帯ではなく、俺そのものに固執してくれたらいいのに――。
 そう思わずにはいられなかった。
 優太に放り込まれたシャワーブースの中、頭だけをシャワーの中に突っ込む。
 温水に紛れて流れるのは無数の涙。
 いくつもいくつも止まることなく、留まることなく流れ続ける。
 涙があふれるものなのだと身をもって実感した。
 自分が泣けるのだと初めて知った。

 涙が止まらないのはなぜなのか……。
 入り混じる感情を整理するのには時間がかかりそうだった。
 けれど、そんなに時間が取れるわけでもない。
 立て直さなくてはいけない、今すぐにでも――。
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