光のもとでⅠ
「でも、うちだとうるさい人間がいることは覚悟して? 藤宮の人間が泊まりにくるとなったらそりゃ大騒動だよ。十四年間一度もそんなことはなかったわけだし、洗礼は免れないよ」
 シャワーを止め、バスタオルに手を伸ばす。
 顔を拭き、頭からバサリとかぶると新たなる声が聞こえてきた。
「俺んとこ来る?」
 シャワーブースの仕切りの向こうに久先輩が顔を覗かせていた。
「あぁ、俺んとこっていっても実家じゃないから安心して。仮住まいのほうだから」
 つまり、静さんに与えられている仕事部屋なのだろう。
 そこが一番楽な気はする。
「でも、優太んちって手もあるよね? 悪い意味じゃなくて、普通の家を見てくるのもいいんじゃない?」
「うち? うち、兄貴が出ていったから部屋なら余ってるよ?」
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