光のもとでⅠ
 そこに優しさを感じる。
 ただ、場所を提供する、とだけ書かれていることに。
 ふたりは身内だけど唯さんは違う。
 朝陽や優太たちも。
 自分の周りにこんなにもたくさんの人がいることに今気がついた。
 ……俺、翠よりひどいかもしれない。

 メールをくれた三人には久先輩のところにいるとメールを送り、俺は藤倉市街にあるマンションへ向かった。
 駅から五分。そんな立地条件で3LDKともなれば相応の値がするだろう。
 部屋にある家具は必要最低限。
 ここで生活していないから、というのがありありとうかがえた。
「テレビとパソコン、キッチンには冷蔵庫と電気ケトル、トースターに電子レンジ。あとはインスタントだけどコーヒーもあるよ。ほかはその部屋が寝室になってて、ベッドと布団一式は揃ってる。あと寝袋もゴロゴロ転がってる。食べ物はデリバリーでもいいし、駅前に食べに行ってもいいし、マンションの並びにあるコンビニで買ってきてもいい」
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