光のもとでⅠ
「こういう会話に免疫がないんです」
「こういう会話に免疫、ですか?」
「はい。社交辞令――上辺だけの会話なら何度となく交わしてきていますが、そこに心が伴う気遣いを何度自分がしてこれたのか、と思いまして」
日下部さんは俺の次の言葉を待っているようだった。
「美辞麗句に慣れすぎて、心ある言葉をいくつ無下にしてきたのかと思うと、少々怖くもあります」
俺の言わんとすることが伝わったのか、日下部さんが口を開いた。
「お立場がお立場ですからね……。ですが、今会議室にいる者たちは――」
「わかっています」
俺は言葉の途中で遮った。そして、もう一度口にする。
「わかっています。あの中に美辞麗句を言う人間はいない。だからこそ、自分も心ある人間でいられました。今は、あの部屋にいる社員の健康状態を心から心配しています」
「こういう会話に免疫、ですか?」
「はい。社交辞令――上辺だけの会話なら何度となく交わしてきていますが、そこに心が伴う気遣いを何度自分がしてこれたのか、と思いまして」
日下部さんは俺の次の言葉を待っているようだった。
「美辞麗句に慣れすぎて、心ある言葉をいくつ無下にしてきたのかと思うと、少々怖くもあります」
俺の言わんとすることが伝わったのか、日下部さんが口を開いた。
「お立場がお立場ですからね……。ですが、今会議室にいる者たちは――」
「わかっています」
俺は言葉の途中で遮った。そして、もう一度口にする。
「わかっています。あの中に美辞麗句を言う人間はいない。だからこそ、自分も心ある人間でいられました。今は、あの部屋にいる社員の健康状態を心から心配しています」