光のもとでⅠ
 何にせよ、俺と雅は似ている。
 俺が感じたのが好意なら、雅が抱いたものは嫉妬。
 ……最初は嫉妬で、少しずつ憎悪に変わっていったのかもしれない。
 憧れや好意、嫉妬や憎悪、それらは相反しながらにして同じ分類をされる。
 つまりは関心――。
 好きの反対は嫌いじゃない。無関心だ。
 俺も雅も、翠葉ちゃんという人間に関心を持ったことに変わりはなく、ただ、受け止め方や抱いた感情が違っただけ。
「心理学に精通しているなら、翠葉ちゃんにどんな言葉を投げたら傷つくのかなんて容易に想像できただろう。それこそ、赤子の手を捻るようなもの」
 ふと思ったことを口にすると、蔵元の眉がピクリと動いた。
「秋斗様、私たちは雅様がこの件に絡んでいないことを知っていますが、司様はご存知ないのでは?」
 その言葉にはっとする。
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