光のもとでⅠ
「まさか――」
「秋斗様?」
「感情を教えるための舞台だなんて言わないよな?」
「舞台、ですか?」
 俺と司は人という人にあまり踏み込まずに生きてきた。 
 俺に関して言うなら、幼い頃に徹底してそう教育をされたわけで、俺の一番近くにいた司はその影響を強く受け、自然と同じ環境を築いていた。
 人が当たり前に感じる感情でも、何かきっかけがないと気づけない。
 そんな環境に長くいた。
 でも、今は――。
 近くに影響力を持つ子がいる。翠葉ちゃんが。
 彼女がそこにいるだけで俺たちがどれほど多くの感情を知ることができたか……。
 整理しよう。今見えているものだけを。
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