光のもとでⅠ
 しかし、最後の最後で雅と催眠術、越谷まりあとつながりがあるよう巧みに構成された話だった。
 司はまんまとそれに引っかかり、その可能性があるのか、と問えば、それはどうか、と確定的なことは一切述べない。
 そのうえで、この件を一任する、というのだから――どこまでも食えないじーさんだ。

 学園警備の指揮権を与え、やり方は任せる、と。
 最後には実力を見せろ、と結ぶ。
 確かに、なんの制約も設けられてはいないし、じーさんが話した内容に嘘はひとつもない。
 すべてが真実。
 だが、衝撃的な内容の割に、学園内に直接関与するものは無に等しい。
 得た情報をひとつも漏らさずシミュレーションする俺や司にとっては一番やりにくい。
 しかも、全容が話されているふうだから、見えているものがトラップだとも思わない。
 司は間違いなく、ありとあらゆる可能性を考えるだろう。
 考えて考えて考え尽くして、翠葉ちゃんには話さない道を選ぶ。
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