光のもとでⅠ
『……碧さんには警護班がついているから問題ない。零樹さんはまだ建築現場。手を出しやすいのは御園生さんと翠だけど、確率的にはどう考えても翠が上』
「同感だな」
 けれど、それは学園警備外の管轄。
 すべてが見えすぎている――。
 相槌のような言葉を返すだけなのに、声が途切れてしまいそうだった。
『越谷の単独行動なら命を狙われることはないと思う。ただし、雅さんが絡むなら話は別。命を狙われることも視野に入れるべき。仮に、越谷が催眠術をかけられているとしたら、術がいつ発動するのかを事前に察知することは不可能だ。雅さんに訊いたところで素直に答えてくれるとは思わないし、確証なしに詰問すれば名誉毀損で訴えられる可能性もある』
 ほら、こんな仮定までしっかり見積もってくる。
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