光のもとでⅠ
 指を指して場所を示すと、目に入ってくる植物たちに、彼女は「わ……」と声をあげた。
 ここに着くまでにだってところどころに同じ植物はあっただろうに……。
 ずっと下を向いていたのだろうか。
 彼女は今始めて知りました、というように周りの景色に呑まれていく。
 司、おまえ何をしにここへ来たんだよ……。
 思いながら振り返ると、司は俺と彼女の後ろで眉間にしわを寄せていた。
「司、別に、とか答えてたけど、やっぱ迷惑だったりする?」
 こんなはずじゃなかった、って顔。
 でも、俺に情報を流した時点でこうなることはわかってたよな? むしろ、俺が来ることを望んでいると解釈したけど?
「さっき、迷惑か、とは訊かれなかった」
「あぁ、確かに……。困るか、って訊いたんだっけ?」
 とぼけて訊き返す。
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