光のもとでⅠ
『じゃ、どの件ですか?』
「オーダーが入った。翠葉ちゃんの携帯のバックアップを取るように」
タイピングの音がピタリと止み、声音も変わった。
司に学園警備の指揮権が与えられたことを伝えると、
『何かあったんですか?』
「いや、何も……」
俺は一拍おいて言葉を続ける。
「あるとしたら、司が試されてるってところかな」
『試すも何も、何もないじゃないですか』
「そうだな。何もないけど、雅のファイルが司の手元にある」
あの日蔵元に話したとおり、唯には何も話さずにいた。
唯に司サイドへついてもらうために。
『雅さんのファイルと司っち、それと学園警備なんて関係ないじゃないですか』
「あぁ、ないな。まるでないとは言い切れないけど、司が陣頭指揮を任される必要性はゼロ。ただ、ファイルを渡したのはじーさんだからね。司に何をどう話してあのファイルを見せたのか……」
本当は全部知っているけど、まるで知らないようなニュアンスで話す。
「オーダーが入った。翠葉ちゃんの携帯のバックアップを取るように」
タイピングの音がピタリと止み、声音も変わった。
司に学園警備の指揮権が与えられたことを伝えると、
『何かあったんですか?』
「いや、何も……」
俺は一拍おいて言葉を続ける。
「あるとしたら、司が試されてるってところかな」
『試すも何も、何もないじゃないですか』
「そうだな。何もないけど、雅のファイルが司の手元にある」
あの日蔵元に話したとおり、唯には何も話さずにいた。
唯に司サイドへついてもらうために。
『雅さんのファイルと司っち、それと学園警備なんて関係ないじゃないですか』
「あぁ、ないな。まるでないとは言い切れないけど、司が陣頭指揮を任される必要性はゼロ。ただ、ファイルを渡したのはじーさんだからね。司に何をどう話してあのファイルを見せたのか……」
本当は全部知っているけど、まるで知らないようなニュアンスで話す。