光のもとでⅠ
「でも、どうやら御園生は求められて困ってるっぽいよ」
 と、佐野くんが隣の海斗くんに言う。
「……なるほど。それで怖いにつながるわけね。でも、怖いのは行為のみでしょ?」
 訊かれて言葉に詰まり俯いてしまう。
「……まさか、秋兄そのものが怖かったりするの?」
 小さく頷くと、盛大なため息が三つ聞こえた。
 そっと海斗くんを見ると、問いかけた状態で固まったままだった。
 申し訳なくて再度視線を落としてしまう。
 海斗くんはものすごく秋斗さんのことを慕っていると思うから。だから余計に申し訳なく思う。
 さっき、気持ちだけは理解してほしいと言われたのに……。
 頭ではわかっているつもりでも、心が真逆に傾く。
 それでも、好きな人、という認識はあるのに――。
「秋兄にそのまま伝えてみたら?」
「……海斗、もうそれも無理っぽいわ」
 桃華さんが代弁してくれた。
「なんで?」
「翠葉、秋斗先生と同じ空間にいるだけでも体が硬直しちゃうみたい」
「マジっ!?」
 私は何も答えることができなかった。
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