光のもとでⅠ
 ただ、俺と司のダメさ加減にいたたまれなくなり、再選択させる余地あり、と考えただけ。
 憂慮されるくらいには気に入られていて、期待もされている。
 俺たちに与える影響力の大きさ、という意味合いの期待を。
 唯なら、それでどこになんの得があるのか、と考えるだろう。
 しかし、物理的には得などあってないようなもの。
 そこに関わった人間たちに「経験則」が与えられるのみ。
 唯はどの時点でそれに気づくだろうか。
 なるべく早くに気づいてほしいけど……。
『秋斗さん、俺、自分の脳みそを漂白剤につけたくなってきました』
 漂白剤……?
 こんな会話の最中でも唯らしさを失わない言葉が返ってくる。
 さて、どんな答えを聞かせてくれる?
 想像しながら俺はいつものように言葉を返す。
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