光のもとでⅠ
「ほんっと腹立つわっ」
 勢いに任せて立ち上がったら足の小指をデスクの端にぶつけた。
「っつ――」
 言葉にならない痛みを感じつつ思う。
 ここはあれだろうか?
 心頭滅却すれば火もまた涼し――。
 色々違う気もするけど、とりあえずは行動に移そう。

 左足をかばいながら部屋を出る。と、洗面所に碧さんがいた。
 今洗濯物をやっつけているところを見ると、午前中は仕事で家事に手が回らなかったっぽい。
「あら、唯。人相悪いけどどうしたの?」
 きょとんとした顔がリィとそっくり。
 会話の内容は微妙だけど。
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