光のもとでⅠ
 全部知ってた人間があとから出てきて全部話すなんて、本っ当に最悪だ。
「オーナーも湊さんも、この場にいる藤宮みんな最っ低。悪いけど、俺、こっから全力で司っちの肩持つんでよろしくっ」
「唯、少し落ち着け」
 蔵元さんが俺を嗜める。
 けど、蔵元さんの言葉だって聞けそうにはない。
 聞けるわけがない。
 だって、蔵元さんだってそっち側にいたじゃんさ。
 子どもっぽいって言われてもいい。
 だって、納得がいかないことだらけだ。

「唯」
「何、あんちゃん」
 あんちゃんも何も知らなかった人。
 俺と同じだけど、俺以上に何も知らなかったのに――なのに、一言も口を挟まない。
 いつもならリィの擁護に全力で回る人が何も言わなかった。
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