光のもとでⅠ
 そんなあんちゃんにもトゲトゲの声を返す。と、
「唯芹亭のコーヒーが飲みたい」
「……は?」
「だから、唯芹亭のコーヒーが飲みたいな、って」
 恐ろしいまでに空気を読まない要求をされる。
 あんちゃん、思考回路壊れてるんじゃないの?
 俺は真っ直ぐな視線を向けてくるあんちゃんの顔をまじまじと見ていた。
 あんちゃんは苦笑しながら、
「まだ言い足りない? だったら、全部言ったあとでもいいけどね」
 肩を竦めて見せる。
 ――違った。
 あんちゃんの思考回路は壊れてない。
 ただ、蔵元さんとは違う形で俺を宥めただけ。
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