光のもとでⅠ
 ドアをノックしようか考えて、部屋の前で少し悩む。
 でも、中から声が聞こえてくる気配はなくて、もしも寝てたら、と思うとノックという選択肢はなくなった。
 そっとドアを開ける。と、部屋は常夜灯に落とされていた。
 リィはベッドに横になっていて、その傍らに碧さんが座っている。
「やっぱり来たわね?」
 碧さんが小さな声で言う。
 まるで、俺が来るのがわかっていたみたいに。
「コーヒー、いい香りね」
「これ、碧さんの分」
「ありがとう」
「リィは?」
「うん……ポカリと薬は飲ませたんだけどね。なかなか寝付けないみたい」
 リィは壁側を向き、こちらに背を向けていた。
 ラヴィをぎゅっと抱きしめ、ただでさえ小さな身体をもっと縮こまらせて。
 まるで殻に篭るみたいに丸くなっていた。
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