光のもとでⅠ
「やぁね、仕事じゃないわよ?」
 じゃぁ、何?
「曲……好きな曲があったんだけど思い出せないの。もう年かしら?」
「そういうの、俺が調べたほうが早いんじゃ――」
「だって、歌手の名前も曲のタイトルも覚えてないのよ?」
 はぁ……これ、間違いなくリィの親。リィと親子。
 曲と歌手と曲名が一致してないのとか、間違いなくリィはこの人の娘……。
「それにね、私が見つけ出して翠葉に渡したいの。……唯、ご飯はどうするの? どうせオーダーせずに来ちゃったんでしょ?」
「すんません……」
「仕方のない子ね……。あとで何か軽食作るわ。だからそれは食べなさいよ?」
「お手数かけます」
「なんてことないわ。翠葉のほうが手がかかるでしょ?」
「それこそ、なんのこれしき……ですよ。手のかかる子ほどかわいいっていうのは本当みたい」
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