光のもとでⅠ
 でも、その目は正常に動作していない。
 ぼんやりと、何もない白い壁紙を見ていた。
 いや、もしかしたら何も映していないのかもしれない。
 感覚の遮断、ね……。
 これはたぶん、あんちゃんが普段口にしている「シャットアウト機能」だろう。
 ……こんなリィは見ていたくない、かな。
 言葉が届かなくてもいい。
 目に映らなくてもいいから、こっち側に戻っておいで。
 ひとりぼっちにならなくていい。
 そうやって自分を責めなくていいから。
 こっちにおいで。
 俺は耳にセットされていたイヤホンを取ろうと思う。
 こんなもので外界を遮断しているとは思ってないけど……。
 まず一歩は物理的なものから撤去、除去、排除。
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