光のもとでⅠ
「謝らなくちゃいけないのは俺で、翠が謝る必要はない」
 翠が謝ることなどひとつもない。
 俺がうまく動けていたら翠を傷つけることも、翠に腹を立てることもなかった。
「ちょっと待ってっ!?」
 翠が身体を捻ろうとしているのがわかった。
 腕に力をこめ、そんな動作は即刻拒否。
「却下、こっち見るな」
「ツカサ……本当にごめん。身体、体重のかかっている場所が痛いの」
「っ、悪い」
 そこまでは頭が回っていなくて、瞬時に腕の力を緩める。
 それでも、腕の中から出すわけにはいかない。
 結果、翠は俺の膝の内で廊下の方を見て座る姿勢に落ち着いた。
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