光のもとでⅠ
「何も間違わずに、一度も誤解することなく人生を歩める人なんているのか……。きっとそんな人はいないって……。いたとしても、そんな人生は小さくて狭くてつまらないものだって……」
「小さくて狭い」という言葉が痛かった。 
 俺は、「藤宮」という世界でしか生きておらず、その中にしか存在していないのだろう。
 箱庭にいるのは俺だ――。
「間違いを犯すから人間で、間違いを認められるから、改められるから人間なんだって」
 一般論としては認めることができる。
 けど、自分に適用できるか、というなら否。
 学校のテストも何もかも、「正解」以外を求められることはなかったし、むしろ、「正解」以外を求めようとも思わなかった。
 そんな俺が急に「不正解」を受け入れられるわけがない。
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