光のもとでⅠ
 翠の言葉を受け止めるたびに、自分を覆っている皮膜が剥がされる気がした。
「俺が怒っていたのは――翠が自分の身体よりも携帯を優先したからだ」
 でも、のちにそれがものすごく嬉しかったとは言えない。
「……だって、大切なものなんだもの。ダミーにすり替えられていたのなんて知らなかったし、何よりも――データは単なるデータじゃないんだよ? 友達や家族、ツカサとのやり取りも全部残ってる。録音された声は、あの日あのときのツカサのもので、それに代わるものなんてないんだよ?」
 わかっていても実際に口にされるとイラッとする。
 そんなの記録にすぎない。
 記録ではなく、生身の俺を見ろよっ。
 そうは言えず、苛立ったまま言葉を返した。
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