光のもとでⅠ
「だからっ――俺が最初から話していればよかったって話だろっ!? 俺が事情を説明してさえいればあんなことにはならなかったし、俺が翠に腹を立てることもなかったわけでっ」
「そんなの、もう起こっちゃったんだから仕方ないじゃないっ」
 翠は身も蓋もないことを言い、俺の拘束を解き振り返った。
「見るなっ」
 顔を背けたが、それは無駄に終わる。
 痛い、と思うくらいに両頬を摘まれ引っ張られた。
「わからずやっ」
 言われるが先か、翠の手を払ったのが先か、俺は即座に反応する。
「誰がっ」
「ツカサしかいないでしょっ!?」
「俺より翠だろっ!?」
「どっちもどっちじゃないっ。だから、わからずやって言ってるのにっ」
 俺を真っ直ぐに見る目からポロリと涙が零れた。
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