光のもとでⅠ
 なんで泣くんだよっ。
 泣きたいのはこっちだ――。
「私はっ――許してほしくてここに来たのっ。なのに、どうしてあんなこと言うのっ!?」
 あんなこと……?
 自分が何を喋り、そのどれを指されているのかなど、察することはもうできない。
「簡単に答え出していいのか、って訊いたじゃないっ。私、もう一度選択する機会なんていらないっ。そんな機会、何度あっても答えは変わらないっ。ツカサのおじいちゃんにもそう伝えてっ」
 またしても急所を衝かれた気分だった。
 今、俺が一番恐れているもの――それは「再選択」の答え。
「静さんに選択を迫られたとき、すごく動揺した。でも、ちゃんと考えて出した答えなんだからっ。そっちこそ簡単にそんなこと言わないでっ。何度も変な選択突きつけないでよっ」
 顔を付き合わせた状態で怒鳴られた。
< 8,315 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop