光のもとでⅠ
「力緩めないで。映りが悪くなる」
 湊先生に言われ、再度力が加わる。
「翠葉、悪いわね。痛いかもしれないけど、弁膜の状態見たらすぐ終わらせるからちょっと我慢して」
 言われて私は歯を食いしばった。
 時間にすれば十分もかかっていないのだろうけれど、拷問を受けている身としてはひどく長く感じた。
 検査が終わると私は深く息を吐き出す。目尻には涙が流れたあとがあった。
 検査技師さんに、「ごめんね」と、ティッシュを渡されそれらを拭くと、湊先生が検査結果を話しだす。
「弁の状態は以前と変わらない。相変わらず薄いし、動きも緩慢。血液が逆流するほどひどくはないけど、聴診器ではしっかりとクリック音が聞こえてる。不整脈の種類は期外収縮だからたぶんストレスや睡眠不足からくるものだと思うけど……。前にひどい心室頻拍やってるから軽視はできない。今日一日、心電図をつけて様子を見よう」
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