光のもとでⅠ
「普通の……ですか?」
「そう、普通の。バングルの精密さは認めるけれど、あれで診れるものは限られる。心臓近くに吸盤をつけた検査には劣るのよ」
「そうじゃなくて……二十四時間ホルターじゃない?」
 訊くと、病院でやるタイプのものだと言われた。ただし、通常の検査とは異なり、今日という一日を病院で過ごすことになるみたい。
「ホルターだと十二誘導心電図よりも情報量が少ないの。嫌かもしれないけど我慢して」
「はい」
 今日は学校を休む約束だったし、ホルター心電図を今から装着するとなると明日の朝にはそれを取り外すためにまた病院へ来なくてはいけない。そしたら学校は遅刻になってしまう。
 それよりはいいのかもしれない、と自分を納得させた。
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