光のもとでⅠ
 目を覚ましたのは一時半だった。
 目を開け、見えたものたちに「あぁ、そうか」と思う。
「病院、なんだよね」
 心電図の音は消してくれていることから、とても静かな病室だった。
 静かで暗い。
 寝ることを考慮してカーテンを閉められているから。
 カーテンの向こうから光を感じることはできるけど、夏のような強い光ではなかった。
 ペタペタと聞き慣れた足音がし、相馬先生だと気づく。
「よう、起きたか?」
「はい」
「気分は?」
「……気分は複雑です。でも、体調はあまり変わらない気もします」
 先生はくっ、と笑った。
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