光のもとでⅠ
「翠葉、明日は午前授業だけど……。そのあと時間は取れる?」
「え……?」
「どちらにせよ受けなくちゃいけない授業なんだけど、保健体育……というよりは、性教育の授業を受けてみない?」
「性教育」――それは、お母さんが「洗礼」と言っていた授業のことだろうか。
 私は少し身構える。「性教育」という言葉や外部生が受ける「洗礼」というものに対して。
 湊先生は院内PHSを取り出しどこかへかける。
「あ、湊です。今、お時間よろしいですか? ……失礼な。このくらいの対応はできます」
 会話の雰囲気からすると、湊先生よりも目上の人にかけている感じ。
「御園生翠葉の補講の件です。先輩の都合がよろしければ、明日の午後にお時間いただけないかと思いまして……。はい――はい、わかりました。じゃ、明日行かせます」
 簡単に話を済ませ、通話を切った。
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