光のもとでⅠ
 蒼兄は隣に座っている蔵元さんと話をしているし、湊先生は真正面に座っている栞さんと来週の日曜にショッピングにいかないか、と話をしている。
 若槻さんと海斗くんはスポーツの話をしているけれど、私の隣に座る司先輩だけは無言でカレーを口に運んでいた。
 私も黙々とフルーツサンドを口にし、一緒に出されたミックスジュースを飲む。
 ジュースはオレンジ色をしていて、果物と野菜のジュースだった。
「リィ、少し蔵元さんと仕事の打ち合わせしなくちゃいけないから、先に彼のマッサージ受けちゃいな。で、相談ごとが終わったらすぐに眠れるように先にお風呂に入ること。準備ができたら電話くれればいいから」
 若槻さんはお皿を持って立ち上がりキッチンへと入っていった。
 その背中に向かって、
「食洗機の中にいれておいてくれればいいわ」
 と、栞さんが声をかける。
 続いて、
「次にこちらにうかがう際にはアンダンテのタルトを持参いたしますね」
 と、にこやかに笑った蔵元さんが若槻さんのあとを追った。
 海斗くんも明日の数学があたるとかで早々に離脱。
 蒼兄も若槻さんが来るまではレポートを片付けるようで自室に戻っていった。
 残るは四人。
 湊先生と栞さんは食後にお茶を楽しんでいる。
 私と司先輩は私の部屋に場所を移してマッサージを始めることにした。
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