光のもとでⅠ
 ふと、紅葉祭前に滋養強壮剤を使った時のことを思い出す。
 相馬先生にぶつけたあれは「反抗」なのだろうか。「反発」なのだろうか。
 間違ってもプレゼンテーションではなかった。抑えられない感情を大声で口にし、ただ吐き出したに過ぎない。
 話し方を考えれば、言葉を選べば、周りの人を説得することができただろうか。
 少し考え首を横に振る。
 答えは否。あのときの私にそんな余裕はなかった。
 負の感情に呑まれ、とてもじゃないけど冷静に話し方を考えられる心境ではなかった。
 そんな私を、相馬先生はを受け止めようとしてくれていた。全部吐き出せ、と。
 黒くどろどろとした感情を抱えた私を否定せず、けれど甘やかすでもなく、今やってることは間違っている、とはっきりと言われた。
 蒼兄も両親も、先生がストップを出すまで見守っていてくれた。唯兄に関しては肯定してくれていた。私は誰にも否定されていなかった。
 自分を否定していたのはほかでもない自分自身――。
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