光のもとでⅠ
「そんな顔しないっ! 今すぐできるようにならなくてもいい。でも、頭の片隅に覚えておいて。反対することよりも認めること、受け入れることのほうが難しい。痛みを伴うこともある。……でも、苦しい思いをした分報われることも必ずあるから」
 先生は、「休憩しよう」と席を立ち、新しくお茶を淹れに立った。
 三歩歩いて振り返る。
「カモミールティーなくなっちゃった。ラベンダーティーでもいい?」
 訊かれて、私は泣き笑いで頷いた。

 気づけば時計は三時を指していた。
「時間が過ぎるのってあっという間ね?」
「はい。……あの、ほかの外部生にもこれだけの時間かけたんですか?」
「そうよ。外部生の事前授業は念入りにするの。だから、たいていが土曜日の午後半日を使うわ。それで足りなければもう一日設ける。今はマンツーマンだけど基本は二十人弱の生徒、男女ごちゃ混ぜでやるからね。全員が納得してるかどうかは、最後の筆記試験や実技試験でマンツーマンになったときに最終確認をする感じ」
「筆記試験と実技試験、ですか……?」
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