光のもとでⅠ
「私はその欲望に素直なところがかわいいなって思うけど、何もかもが初めての女子からしてみたら面食らっちゃう部分でもあるわね」
 先生の説明で、心の中に濃い影となって姿を現したのは秋斗さんだった。
 私は秋斗さんを好きだった。それははっきりと自覚している。
 好きと気づいたら、途端に色んなことが恥ずかしくなっちゃったけど――でも、お話できることが嬉しかった。一緒に過ごせることが嬉しかった。
 手をつないでドキドキして、抱っこされてドキドキして、抱きしめられてドキドキして――キスされたときはびっくりした。自分が蒸発しちゃうんじゃないかと思うくらいに身体中に熱を持った。
 そんな私を見た秋斗さんはいつも余裕そうにクスクスと笑っていたけれど、「自分もドキドキしてるんだよ」と、こんなふうに赤くなる私を好きだと言ってくれた。
 本当に好きだったのに、どうしてキスマークはだめだったのかな……。
 どうして、あんなに優しい人を怖いと思ってしまったのか……。
 秋斗さんはきちんと段階を踏んでくれていたのに。
 何度考えても、どんなに考えても答えは出ない。
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