光のもとでⅠ
 あ――桃華さんなら真実を見極めに行くかもしれない。海斗くんなら好奇心で見に行くかもしれない。久先輩もカメラ持って行ってしまいそう……。飛鳥ちゃんは意外と怖がって誘われても行かないかも……。佐野くんは慎重な一面があるから、見に行くのではなく情報を集めそう。
「つまり、そういうことよ」
 言われてはっとした。
「性格って……」
「未知のものに対して好奇心を抱くか恐怖を感じるのか、はたまた慎重にものごとを見ようとするのか。そういう差。もっとわかりやすいたとえを言うなら……小さい子が初めて海っていう大きな水溜りを目の前にして、流れては引いて行く波を目にして、そこに足を踏み出せるかどうか。翠葉ちゃんは怖がる子がおかしいと思う?」
 私は首を振った。
 だって、砂浜の波打ち際でも初めて足を踏み出すのはとても怖かった。
 蒼兄とお父さんの手をぎゅっと握って挑んだ覚えがある。
 頼りになる家族の手を握っていても怖かった。
< 8,432 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop