光のもとでⅠ

08

「私……行為も怖かったけど――好きな人を怖いと思ってしまったんです」
 でも、「行為」と言ってもキスマークだけなのだ。それ以上のことは何もされていない。
「きっかけは?」
「……先生、私が怖いと思ったのは性交渉未満の行為です」
「つまりは何かしら?」
「……キスマーク。キスマークをつけられただけなんです。本当に好きな人だったのに。大好きだったのに、どうして消したくなっちゃったんだろう」
「……消す?」
 首を傾げる先生に、お風呂でこすって内出血してしまったことや寝ている間に掻きむしってひどい擦過傷になってしまったことを話した。
 先生は口元に人差し指をあて、何か考えているようだった。
 やっぱり、私が取った行動はおかしいのだろうか。
 心が不安で押しつぶされそうになる。
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