光のもとでⅠ
「翠葉ちゃんはおかしくない。それから、秋斗くんもおかしくない。話したでしょう? 個人差はあるけど、男性脳と女性脳は違うの。感じ方も求め方も違う。秋斗くんが翠葉ちゃんに対して抱きしめたい、セックスしたいと思うことはごく当たり前なことだし、健全な証拠。翠葉ちゃんは恐怖心を感じすぎてしまった感が否めないけど、そうなるだけの理由があった」
 先生は私が男性恐怖症の気があることを知っていた。それは湊先生から事前情報として聞いていたらしい。
「そういうことがあったあとならなおさらよ。過剰に反応してしまうのは仕方のないこと。何も好きな人だから大丈夫、だなんて一概には言えないの。湊ちゃんも言っていたでしょ? 『好きな人』にはより『異性』を感じてしまうがゆえに拒否反応が起こることもあるって。だから、何もおかしいことじゃない」
「おかしくない」と言われるだけで、こんなにも心は楽になるものなのか――。
 そう思うほどに私の心は救われていた。
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