光のもとでⅠ
「セックスがどういうものかは話したから、その続きを話すわね」
 先生は保健体育で習うような授業を始めた。
 性交渉におよび、精子と卵子が受精すれば子どもができるのだと。とても当たり前のことを当たり前ではないように話す。
「卵子はいわば細胞分裂から生まれるもので、年が若ければ若いほどに質がいいの。質がいいということはどういうことかというと、妊娠しやすいということ。男子にも同じことがいえるわ。年が若ければ若いほどに精子が元気よく寿命も長め。つまり、この条件で性交渉をすると受精……妊娠する可能性がとても高いということ」
 中学校ではこんなふうには説明されなかった。子どもができても育てることができない年齢ではすることじゃない、とだけ説明された。
 コンドームとはHIVなどの性病感染を防ぐものと教わった。
 それ以上でもそれ以下でもなく、ただそう教わった。
 でも、玉紀先生は「してはいけない」とは言わない。
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