光のもとでⅠ
 佐野くんが心配してくれたのは「帰り道」じゃなくてこっちだったのかもしれない。
 そう思うと、少し心がふわって浮いた気がした。
「大丈夫だったよ。たぶん、佐野くんたちが受けたっていう筆記試験は全部口頭で答えた。それから、最後にある実技試験もパスしてきた」
 佐野くんは意外そうな顔をしたけれど、すぐに表情を改める。
「御園生、冷静。すごく落ち着いてる」
「うん……。途中、色んなこと思い出して泣いちゃったりもしたけれど、それが良かったのかな? 少しすっきりした。それと、知ることができて良かったと思う」
「そっか」
「うん」
 そんな会話をしてから昇降口を出た。
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