光のもとでⅠ
「御園生?」
「えっ? あ……なんだっけ?」
「いや、とくに何を話してたわけじゃないけど……どうした?」
 どうもしなくて、どうもする。
 いつもなら誰かしら欠けていることが通例の食事会も、今日はみんなが揃っている気がした。
 何かあったから人が揃わないのではなく、何かあったからこそ、人がみんな揃ってしまうような気がして――。
 佐野くんも海斗くんも携帯の件は知らない。
 人に言うようなことでもない。
 でも――全然関係のない人にいてほしい。
 今私は間違いなく「佐野くん」という人に逃げようと思っている。
 何がそんなに怖いの?
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