光のもとでⅠ
佐野くんの数学は喫茶ルームで教えた。
ゲストルームじゃなくて、喫茶ルーム。
今、ゲストルームでは栞さんとお母さんが料理をしているだろう。そして、六時過ぎには会食が始まる。
今ちょうど六時になった。あと少ししたら携帯が鳴るかもしれない。
佐野くんの質問は三問だった。解くための糸口を少し話せば、
「あぁっ! そっかー。そっか、そっか……」
と、納得してしまう。
だから時間はかからなかった。
六時を少し回ると携帯が鳴った。
唯兄からだった。
『今、どこ?』
「一階の喫茶ルーム」
『何でそんなとこにいんの?』
「佐野くんに数学を教えていたの」
嘘はついてない。でも、後ろめたい。
ゲストルームじゃなくて、喫茶ルーム。
今、ゲストルームでは栞さんとお母さんが料理をしているだろう。そして、六時過ぎには会食が始まる。
今ちょうど六時になった。あと少ししたら携帯が鳴るかもしれない。
佐野くんの質問は三問だった。解くための糸口を少し話せば、
「あぁっ! そっかー。そっか、そっか……」
と、納得してしまう。
だから時間はかからなかった。
六時を少し回ると携帯が鳴った。
唯兄からだった。
『今、どこ?』
「一階の喫茶ルーム」
『何でそんなとこにいんの?』
「佐野くんに数学を教えていたの」
嘘はついてない。でも、後ろめたい。