光のもとでⅠ
 会食はいつものように二時間から二時間半でお開きになった。
 佐野くんは海斗くんの家――というよりは秋斗さんの家に泊まることになったみたい。
「どうする?」
 海斗くんに投げられた言葉に即座に反応できなかった。
「ねぇっ、湊ちゃん、本当に大丈夫なのっ?」
 海斗くんが湊先生に訊くと、
「大丈夫なはずよ」
 湊先生がこちらを向き、私自身に答えを求められていた。
「海斗くん、ごめん、なんだっけ? 少しぼーっとしてたの。ごめんね。体調は大丈夫だから」
 すると、佐野くんが言葉を引き継ぐ。
「いつもテスト前って夕飯のあとはここで勉強してるんだって? それ、やるかやらないかなんだけど」
「あ……うん。大丈夫。ごめん、やろう。テスト勉強」
「無理に付き合わなくていいけど?」
 ツカサの少し鋭い声が背に響く。
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