光のもとでⅠ
「この授業を受けられて良かったです。知らないでいるよりもずっといい」
 そう答えると、先生の表情も少し和らぐ。
「心と身体の答えは出そう?」
 それはまだ……。
「まだなのね。……でも、どちらも大切なものだから。どっちかを選ぶんじゃなくて両方選びなさい。両方大切にしなさい」
 湊先生は「どちらか」を選ぶことを迫らない。欲しいものすべてに手を伸ばしなさい、とそう言う人。
 それができたらどんなにいいか――。
 湊先生はできないことは言わないと思う。だから、できないのは私の技量の問題。
 本当は両方を手にする方法があるのかもしれない。でも、私にはその方法がわからない。
 そして、その方法は人は教えてくれないのだと思う。
 自分が――自分で見つけなくちゃいけないのだと思う。
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