光のもとでⅠ
 私は私のままでいいの? 今のままでいいの?
「でも、それは秋斗さんが我慢するということではないの?」
「……自業自得っていうかさ、どうしても欲しいものがあるとしたら、何かを我慢しなくちゃいけないことがある。そういうのって何につけてもあることなんだ。わかりやすく言うなら、欲しいおもちゃがあるなら普段の買い食いを諦めてお金を溜めなくちゃいけない。そんな感じ」
 あ……なるほど。
「私は何を諦めたら――ごめんなさい、なんでもない……」
 私、今、何を口にしようとしたの?
 すごく自然に口にしてしまったけど、その先はとても恐ろしいことではなかっただろうか。
 瞬時に体の熱が下がる気がした。
「リィの髪の毛は本当にサラッサラできれいだね」
 と、若槻さんが髪の毛の先にキスをした。
 びっくりしていると、
「このくらいは兄特権で許してよ」
 と、笑う。
 ……気を遣ってくれたのかな。
 すると、椅子に場所を移していた蒼兄が私の真横に座った。
「翠葉は何も諦める必要はないよ。だからといって、その体調で満足する必要もない」
 ゴツン、と蒼兄の頭が私の頭に降ってきた。
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